波乱万丈の通販人生 -その19-


 発泡酒の通販をスタートし、広告も順調に進む中ラジオショッピングの原稿を作っている時の事です。アナウンサーとの掛け合いをする際、アナウンサーもしくはアシスタントの方に試飲をお願いしたいとふっと思いつきました。ゴクゴクゴク、あ゛ー旨い!!」を言ってもらいたかったのです。
 1本目の熊本での放送では快く受けて頂き本当に美味しそうに飲んで下さいました。お陰様で通販業界でも記録的売上をたたき出す事が出来ました。実はこのラジオの生放送でアナウンサーが飲んだり食べたりする事はタブーとされていたのです。
 それは噛む音(くちゃくちゃ)、飲み込む音がラジオで聞くだけの場合、品がなくなるからとの事でした。ここで簡単に引き下がらないのが私です。
ほとんどのラジオ局でやって頂いていますから」(ウソです)
何なら水を飲んでもらってもかまいません」(駄目でしょ)
飲む音があるのとないのでは大違いなんです」(これ本当でした)
泣きつかんばかりにお願いし、ラジオの生放送の中で飲み食いするという日本初がスタートしました。どうしても飲めないと言われる局には事前に試飲してもらい感想を言ってもらう事にし、何しろ美味しい、旨い、を連呼して頂いたのです。その後「これ本当に発泡酒?ビールより旨いじゃない、さすが本場ですね〜」と続きます。
 その年の12月から翌年の4月の約5ヶ月間で何と6万人のお客様を集客しました。これから夏に向かって消費量が上がることは解っていました。ヨーロッパからは何万ケースもの発泡酒が船に乗って日本に向かって来ています。その時、20人を越える社員達と私とH社社長は夢と希望に満ち溢れ、笑いが止まらない状態にありました。
 全国のラジオショッピングを制覇し、これから夏に向ってそろばんばかり弾いて天狗になっていた私達はある日突然奈落の底に突き落とされる事になります。H社社長があの時は車の中にロープを乗せていたと言われた発泡酒の終焉は想像もしない形で訪れました。今思い返しても、恐ろしく、もうダメだと諦めかけたその内容は、次回に…