毎月1回発行される「プチ紳士からの手紙」という小冊子があります。カレーハウスCoCo壱番屋の創業者、宗次徳二さんが創刊されたものです。
プチ紳士・プチ淑女を探せ運動を広めるために10年近く続けられています。
身近なところで起きている心温まる話や感動したことなどを、この冊子を通じて教え合い優しい人になろうという運動です。理念が書いてありますので転載します。
ゆっくりでいい。一歩ずつでいい。自分のできる範囲でいいから、周りのことを思いやる世の中を作ろう。
なかなか善行って、できません。ましてや、ボランティアなんて堅苦しい。「いい話」や「美談」なんてあるようで少ない。そんな世の中だから、他人の心遣いに触れて、本当に嬉しくなることがあります。無理しなくてもいいから、できる範囲のよい事をすればいいと思います。あなたの街にも埋もれている「プチ紳士・プチ淑女」を探してみませんか。「プチ紳士・プチ淑女」とは、見過ごしがちなほど、小さな小さな親切をする人のこと。きっと、生き方のお手本になるはずです。ひょっとして、自分にも真似できることがあるかもしれません。これは、「プチ紳士・プチ淑女を称え、思いやりでいっぱいの世の中を作ろうという運動です。
私も、もう三年ほど読ませていただいてますが、いつもジーンとくる内容ばかりです。今回の中でピカイチの話を紹介させてもらいます。
「腕がなくてもママはママだもんね」
私の母には右腕がない。私が小学四年生くらいから、母はガンで入退院を繰り返していた。父は仕事を頑張ってくれているので、家の中は六歳離れた弟と二人だけの時が多かった。もちろん、家事は全て私がやる。周りは「えらいね」とか「女子力あるね」とかそんなことばっかり言うけどそうじゃない。せざるを得ないだけだ。試合の時や弟の遠足の時のお弁当も作らなければならない。そんな生活に慣れてしまった中学三年の夏。私の部屋に両親が入ってきた。二人で来るなんて珍しい。私は何か悪いことでもしたのかなと頭をフル回転させた。その時、「ここに座って」と、父の低くてどこか悲し気な声が私の小さな部屋に落ちた。腕を切らないといけない。その事実を母がかすれた声でゆっくりと話してくれた。私は生まれて初めて父の大きい目から涙を見た。
受験勉強に追われた長い夏休みが終わり、母が入院した。六時半に家を出る父に起こされ、弟と手を繋いで登校する日々が続いた。受験勉強をしながら家事や弟の世話をしたりと、すごく大変だった。父も毎日がんばってくれていた。時には枕元に二人分のおかしをおいてくれていることもあったりした。少ししかないお小遣いの中から、わざわざ買ってくれているのは知っていた。でも、「ありがとう」はメールだった。
母が腕を切った。病院がある福岡へ三人で向かった。母の右腕はなかった。母を直視することがどうしてもできなかった。母は笑っていた。苦しくて辛いのは母のはずなのに、私は笑えなかった。そんな私に父が「腕がなくてもママはママだもんね」と、母と同じ笑顔で言った。
いかがでしたでしょうか。このようなお話が満載で年間2500円で読むことができます。超お安いです。見本誌だけでもいかがでしょうか。