小学生のころから本が大好きだったことは以前にも書いたことがありました。
数えたことはありませんが、万に届く数をきっと読んでいると思います。
そんななかで1冊だけ、どうしても忘れられない内容の本があります。
ヘルマン・ヘッセの短編童話『アウグストゥス』です。
内容は子どものできない女性がいました。
だいぶん歳をとってようやく子どもが生まれ、女性は嬉しくて嬉しくて幸せいっぱいのなか大切に育てます。
ところが子どもがまだ赤ちゃんのときに、女性は病で余命が短いことを知りました。
悲しみに暮れる女性をあまりにも不憫に思った神様が「お前の願いをひとつだけ叶えてあげよう。なにが良いか言いなさい」と言います。
私はドキドキしながら「せめて子どもが大人になるまで命をください」と言うのかなと思いました。
ところが女性は「世界中の誰もがこの子を好きにならずにはおられませんように」と願ったのです。
子どもは皆に愛され、なんでも許され、甘やかされ、なに不自由なく育っていくのですが、なにをしても周りから教えてもらうどころか褒められてしまうのです。
お陰でその子は、すっかりわがままでどうしようもない大人になっていくのです。
天国で見ていたお母さんは、自分が願ったことを嘆き悲しみ後悔します。
そこで神様に「もう一度だけお願いを聞いてください」とお願いし、叶えてもらえることになりました。
その言葉が「この子が誰をも愛さずにはおられませんように」という言葉でした。
その後、その子は周りにいる全ての人を愛し慈しむようになりました。
さて、どちらが幸せだったのでしょう。
今でも忘れられないくらいですから、子ども心によほど衝撃だったのでしょう。
みなさんはいかがですか?
本日もお読みいただいてありがとうございました。
感謝