泣かされたみかんの発送から生まれたもの

泣かされたみかんの発送から生まれたもの

北海道のラジオショッピングでみかんが大量に売れた後、私は近所のスーパーにある10kg1500円のみかんを出された農家さんを必死に捜しました。
箱には、何か訳の分からない記号が書かれています。市場に知り合いはいないか、誰彼かまわず聞き回りました。3日後、とうとうその人に辿り着いたのです。
私は直接自宅を訪問し、10kgを1500円でしかも『前金で構わないので売ってください!』とお願いしました。
その時の市場買取価格は半値以下だったハズです。『どこの馬の骨か分からないおばさんが600箱ものみかんを倍の価格で買って何をするんだろう?』と思われた事は、そのまま顔に書いてありました。
でも、前金で買取りならば問題ありません。その時私は現金を持ってお願いしに行ったのです。100万円近い現金を目の前にして断る人はいないでしょう。早速『2〜3日で揃えます。』との返答を頂きました。
……そして会社に届いたのです。600箱のみかんが!!!
すでにお客様の宛名シールは準備し、これを貼って出すばかりと考えていた自分達の甘さに打ちのめされました。トラックからバトンを繋げた様なクルクル滑り落ちる板に乗って降ろされるみかんを女性3人で積み上げていきます。降ろす作業だけで、もうクタクタです。
その山の様なみかんに1枚1枚ラベルを貼って、又積み上げる……。朝から始まって暗くなる迄続いた作業が終わった時、私達3人『これはもうダメだ。』と逃げの思いで一杯になり、動く事も出来なくなってしまいました。
その夜、棒の様になった体を風呂の中で休ませている間、すでに私の中には新しい閃きが浮かんでいたのです。
その内容は乞うご期待です。
会社の裏側にある梨畑の農家さんが奥様の腕が上がらなくなって『梨の栽培をやめる』と言われました。
春先に白い花を付け、今は袋の中で着々と完熟を待っている梨達は、出荷されること無く切り倒されるそうです。
どんなに辛い思いなのか、私に推し量る事は出来ませんが、とても残念に思います。