先日、本を読んでいたら『どこまで人を許せるか』という内容の手記がありました。
白血病で小児で長男を亡くした夫婦が、次男を今年も生きてきてくれたと大切に育てていたのですが、その子が小学校3年生のときに学校のプールで友達から背中を押され、コンクリートに頭を打ち亡くなってしまうのです。
母親は狂ったように誰がやったのか、学校は何をしていたと、犯人探しに一生懸命です。
そのとき父親が、次男は心臓麻痺で死んだことにしよう。
誰かに罪を被せても良いことは何も起こらないと懸命に母親をなだめ、結局その考えを2人は貫いたのです。
もう30年も前の話ですが、あのとき誰が背中を押したかを訴えたり、裁判をして勝ったりしてお金を貰ったりしなくてよかったと、今になって母親が気づいたことが書かれていました。
その年以来、毎年命日にはお墓に花を飾られ、たわしでピカピカに掃除をしてくれる人がいるそうです。
あのとき自分の恨みを晴らしていたら、こんな優しい人を育てることはできなかったと心から喜んでいるというお話でした。
ちょうど手記を読んだ翌日、2年半前に奥さんと1人娘を老人が運転する車に轢かれて亡くした人の判決がテレビであっていました。
2人の命の代償が禁錮5年とはなんと理不尽なことでしょう。
あの老人が事故直後に自身の過失を認め、老いてなお運転免許証を返上しなかったことを素直に詫びて心から謝罪をしていたら、2年も3年もことを引きずらずに済んだのかもしれません。
私には、あの父親がそんな人のように見えました。
2つの実話から人を許さないために戦うこと、自分の怒りを収めるために戦うことの虚しさを感じました。
きっと当事者になってみなければ、わからないことなのでしょう。
朝夕は涼しくなって参りました。お身体ご自愛ください。
本日もお読みいただいてありがとうございました。
感謝